会長コラム2012年1月

「約束の地へ」



 東日本大震災が発生して10ヶ月になる。研究会会員の動向が気になり発生から自分に出来ることを模索し続けてきたが、昨年の7月に東北ブロック地域研修協力員 山形の井上健先生と相談、その後、8月に上級講習会を当院で受講された東北ブロック長の高橋穂先生と具体的な計画を立て、被災地が落ち着いた1月に会員を激励する ために講演会を設けて頂けることになった。そして先日1月28日に盛岡会場(岩手リハビリテーション学院)・29日に仙台会場(坂総合クリニック1号館8階会議室)にて講演「ボバース の最新知見と世界の情勢」というタイトルでお話しさせて頂いたので報告したい。

 1月28日、朝7時のあずさで東京へ、東京から「はやぶさ号」で盛岡へ向かう。仙台駅で井上先生、高橋先生と合流。盛岡駅には下斗米先生と佐藤博志IBITA成人片麻痺 インストラクターが迎えに来てくれていた。一緒に歩いて岩手リハビリテーション学院へ。一年以上ぶりに当院の基礎講習会修了者や研究会会員に会うことが出来た。 皆元気そうで嬉しかった。3時間の講演ではオランダを中心としたヨーロッパのボバース事情についてと日本のこれから向かうべき方向性、そして霊長類のリーチ活動と 手の機能についてお話しさせて頂いた。その後の懇親会では会員の方々の被災時の動向についていろいろお聞きすることができた。病院の屋上で利用者さんと一緒に ビニール袋をかぶって寒さをしのぎ一夜を明かして救助を待った会員の方、訪問先で救急隊と一緒に屋根の上まで逃げて津波から逃れることが出来た会員の方もおられたようだ。 その後も病院の訓練室がトリアージに使われたり、それを手伝ったりした会員の方々もおられたようだ。よく頑張って頂けたと心からねぎらいの言葉を贈りたい。

 翌日29日は仙台に移動するため朝7時4分の「はやぶさ」に乗り込んだ。ところが10分後に非常ブレーキの故障で緊急停車。次の駅までなんとか動いて「はやて」に乗り換え仙台へ。 1時間40分缶詰状態で新幹線から新幹線へ梯子で渡るという希少な体験をした。会場となる下馬の坂総合クリニックには2時間遅れで到着した。坂総合クリニックもまた、 津波被害の中心地にあり、高台にあったおかげで津波の難は逃れたが建物にひびが入ったとのこと、その後は訓練室がトリアージに使われたり、それを手伝ったりした会員の施設だ。 講演は1時間半遅れで開始されたが、それまでの間は東北ブロックのブラッシュアップコース修了者がワークショップを行ってくれており、会員同士でディスカッションや実技を行ってくれ ていたようだ。さすが東北ブロックは統制が取れているなと感心した。講演は土曜日の内容を少し密にして2時間とし、11時から13時まで話をさせて頂いた。

 その後、駅まで向かう経路を少し 遠回りして頂いて、津波の被害があった七ヶ浜と仙台港に立ち寄らせて頂いた。見渡す限り基礎だけしか残っていない住宅地、折れ曲がったガードレールや修理中の家、瓦礫の山、壊 れた倉庫、積み上げられた廃車等・・まだまだ復旧が必要な箇所が多くみられた。やはり報道で見るのと違いその場に立って心がふるえる感じがした。まだまだ東北ブロックの再興に は時間がかかる。今後も研究会として出来ることを模索していきたい。最後に、講演の資料の最後に載せた言葉を講演会に来ることの出来なかった会員の方々にも贈りたい。

 − 折れない心 −
・・そして、絶対に変わらないスピリッツと変えてはいけないものがそこにある。 ヒトの脳に関わる仕事は発見と驚きの連続である。 科学やエビデンスは後からついてくる。 ボバース夫妻、そして紀伊先生は我々にそれを教えてくれた。 脳損傷を持たれた方の治療、そして正しいことを正しいと言い続ける事には多くのエネルギーが必要である。 立ち止まるときもある。それでいい・・。でも何度困難にぶつかってもまた前に歩き出そう。「折れない心」を持って・・  

日本ボバース研究会 会長   伊藤 克浩
 

平成24年1月30日

 
 


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