会長コラム2012年11月

 「ゲリンデ女史チューターズモジュール」





 11月9日から11日にわたってドイツのシニアインストラクターゲリンデ・ハッセ女 史による講師対象講習会が東京の順天堂江東高齢者医療センターを会場に開催された。今回は女史による治療デモンストレーションが5症例も あり、女史のいろんな治療場面を見ることが出来た。その他、講義と実技、治療実習が行われた。  

 私たちの治療実習グループに協力してく ださった症例は男性の元サーファーの方であった。脳卒中発症後、数年経過された方で、「昨年サーフボードに仲間にも助けられな がらうつ伏せで乗ることは出来た。四つ這いにもチャレンジしたが麻痺側上肢が支えられず何度も海に落ちたので、次は四つ這いで乗りたい」との希望を 訴えられた。

 そこで四つ 這い位を評価してみると、皮質が優位に働く事で非麻痺側下腿が支持面からの情報と関 係なく出力優位になっていて、そのことがさらに非麻痺側体幹の側屈固定を強めさせ、 骨盤周囲の安定化を阻害し、そして麻痺側上肢の支持を失わせていた。そこで非麻痺側下腿と麻痺手で支持面からの情報 を探索出来るようにハンドリング介入していくと、四つ這い位で麻痺側上肢が支持できるようになっ てきた。そこで長椅子の上に四つ這い位で乗ってもらい長椅子を傾けて支持面の動きに合わせた姿勢調整、麻痺側上肢の支持 が出来るか挑戦した。

 二日目の治療実習ではゲリンデ女史が介入してくれて、その方が四つ這いになっていく際に麻痺側上肢を先に支持して、上腕の外旋をイニシエーション にするともっと麻痺側上肢が活性化されるとアドバイスを受け、そしてそれが我々の手で実現できた。我々が「難しいだろう」と思っていたことを解決できたことに驚いたと共に「難しいだろう」 と決めていた自分達の判断に悔しさを覚えた。  

 いつも受講生に言っている言葉だが「脳にとって手足はネコの髭のようなもの」 で環境からの情報を知るための探索器官でもある。長さを失わないこと、出力優位に なって門を閉ざしてしまわないことが重要であることを再確認できた。ゲリンデ女史 のハンドリングは大胆で繊細である。普段の自分のハンドリング誘導のスピードが早 くなりすぎる傾向があることに気づけて大きな収穫となった。


日本ボバース研究会 会長   伊藤 克浩
 

平成24年11月30日

   
 


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