会長コラム2014年10月

 「関東甲信越ブロック理学療法学会教育講演」





10月26日に千葉の幕張メッセで関東甲信越ブロック理学療法学会が行われ教育講演で講演をさせていただいたので報告します。 会場にはかなり多くの方に集まって頂き盛況でした。ありがとうございました。内容についてはプログラム集に掲載して頂いた抄録を参照して頂けると幸いです。

 ---------------------------(以下関東甲信越ブロック理学療法学会抄録集より一部引用)-----------------------

理学療法の未来を考える 中枢神経疾患の理学療法

 1996年にRandolph J. Nudo博士の論文がサイエンス紙に掲載されてから18年にな る。それを期に、脳損傷者のリハビリテーションにおいて身体からの情報が脳の可塑 性に寄与することが常識となり、ニューロリハビリテーションが日本でも当たり前の 様に行われるようになった。

ただ、理学療法士が運動療法(徒手的介入)を用いて麻痺側から情報を入れ続けるの は量的に困難であるとも言われており、麻痺手のある程度動きがある人はCI療法等 で、麻痺手の随意運動が乏しい人は、ロボットや通電によるアシストで高頻度の刺激 を入れ続ける事が重要であるという風潮もある。

そして脳損傷者の歩行再獲得練習に用いられる部分免荷トレッドミル歩行練習(Body Weight Supported Treadmill Training)においては、諸外国では理学療法士は数字 を打ち込む仕事、下肢を交互にリズミカルに運ぶのは助手の仕事となりつつあるとも 聞いている。普遍性やエビデンスを追求すると経験や知識で効果に差が出る様な介入 方法は認められなくなっていってしまうのであろうか・・。

昨年の第50回リハビリテーション医学会学術集会に全日程参加したが、ニューロリハ ビリテーションに関連した講演やシンプジウムではCI療法の竹林氏(作業療法士)以 外、療法士が画面に出てくるシーンを少なくとも私は見つけることができなかった。 理学療法士による徒手的介入に生き残る道はあるのだろうか・・。

一方で、回復期リハビリテーション病棟での脳卒中者を対象としたリハビリテーショ ン現場は、元々看護必要度を改変した「日常生活機能評価」で施設基準まで決まるた め、麻痺の回復と関係なく非麻痺側を強化してADLを自立させようとする理学療法士 が増加しつつある。頸部骨折術後の症例では術肢の機能回復を可能な限り行って生活 再建や社会復帰を目指すのに、脳卒中者に対するリハビリテーションにおいて麻痺の 回復に可能な限り取り組むことを放棄しADL訓練ばかり行う理学療法士達である。回 復期終了までの間、日常生活機能評価の点数改善のために、非麻痺側で手すりを引っ 張って寝返り、非麻痺側方向のベッド端に向かって非麻痺側上肢で柵を引っ張って起 きあがり、非麻痺側に置いてある車いすにU字柵に倒れかかるようにもたれながら乗 り移る・・。これらだけを5〜6ヶ月も続けていれば不使用による麻痺側上・下肢、 そして体幹の身体図式が狭小化してしまうし、筋萎縮も必然である。麻痺側に寝返っ たり、麻痺側から起きあがったりする為の運動療法介入は今もなお養成校で教えられ ているのであろうか・・。

そして・・今後は再生医療の発展により、損傷された神経組織は再生されるが「運動 の再学習」が必要な中枢神経疾患症例に対する理学療法のあり方を、そして国の方針 で入院期間は短縮されていくので、発病から短期間の中枢神経疾患症例に対する在宅 理学療法のあり方も議論されなければならない。



日本ボバース研究会 会長   伊藤 克浩
 

平成26年10月31日

   
 


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