ご挨拶

第9回日本ボバース研究会学術大会に向けて

一般社団法人 日本ボバース研究会 会長  
日浦 伸祐(Nobuhiro Hiura)

この度、石田副会長を学術大会長として、第9回日本ボバース研究会学術大会が催されます。テーマは、「国際化」とし、この機会を通して、会員たちがこれから目指していくものの一つの可能性についていろいろなメッセージ込められていると考えます。

石田学術大会長は、長きにわたりIBITAInternational Bobath Instructors Training Association) の重要な委員会メンバーとして活躍され、多くの海外の指導者や海外の基礎講習会修了者ともかかわってこられました。

今回、オーストラリアの上級講習会インストラクターでもあるBrock女史を招聘し、” New directions in rehabilitation research – new opportunities for the Bobath concept ? “というテーマで特別講演をしていただきます。 Brock女史は、ボバース概念をリサーチの領域にのせ、カナダのGraham女史とともに、われわれの行っている臨床介入の有意義性を唱え、ボバース概念を他の領域の方々からみても理解できるように普遍化することに尽力されています。

今回の講演では、大型RCT研究の限界とボバース概念における個別介入の優位性の観点から、リハビリテーションについての提言を頂けるかもしれません。

我々の行っている臨床介入は、利用者ベースで進んでいます。また、研究会会員の方も利用者さんの協力をもとに、セラピストとして成長させてもらっています。ボバース概念の原点である一人一人に目を向けることと、我々の行っていることを多くの人に知ってもらうためのグローバルスタンダード化を両立させるため、リサーチの持つ意味や重要性を考える機会になれば良いかと考えます。

会員の皆さんとは会場で熱いディスカッションができることを期待しております。

第9回日本ボバース研究会学術大会開催に向けて

9回日本ボバース研究会学術大会 大会長
石 田 利 江(Toshie Ishida)

昨年度、第8回のボバース研究会学術大会のテーマは“to the future―ボバース概念の未来を見すえてー”であり、時間的な広がりでとらえ私たちの進む方向性を考えてみました。今年度は空間的広がりを考えて”国際化に向けて“をテーマにとりあげました。

日本への旅行者、居住者の増加、海外労働者受け入れ枠の拡大などで、国内で外国人人口が多くなり、私の住む東京の田舎?練馬でも電車に乗ると必ず外国人に出会うようになりました。また一方、海外で活躍する日本人も多くなっています。島国日本でもボーダレスの意味が実感されてきました。

そこで今回はボバース学会1日目に、オーストラリアのKim Brock先生をお招きして、「リハビリテーションリサーチの新しい方向性―ボバース概念の新しい視点」でご講演いただきます。最近のRCT研究では、上肢に対する課題志向型の治療は良好な結果を得られなかったことが示されました。それにより、いくつかの研究グループから、一人一人に対する個別治療と、それに合わせたこれまでと異なった研究デザインの必要性が提案されています。他、動物研究でも同じことが指摘されています。ボバース概念は、この新しい研究の方向性に合うこと、またその具体的な研究例を示してくださる予定です。ご講演に続いて、4人の指定演者からの研究、またはケーススタディの発表にアドバイス、コメントをいただき、デスカッションの時間を設けます。Kim先生は、私に研究を堅苦しく、難しく考えないこと、自分の疑問や、興味あることから展開していけることを教えてくださいました。会員の皆様にとっても、今私たちに問われている、「論証する」ことのやり方や、方向性を見つけることのできる機会になると思います。

2日目の基調講演では、これまで研究会、JBITA,ABIPIAを中心に行ってきた国際活動の歩みと今後の展望について、私が講演をさせていただきます。その後、会員の皆様からの一般演題発表となります。臨床を振り返り、仲間と討論できる年1回の大きな大会です、皆様の参加をお待ち申し上げます。

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