文献抄録一覧
Systematic review and evidence-based clinical recommendations for dosing of pediatric
Pediatric physical therapy Vol.25 Number3 p232-247
Ginny S.Paleg Beth A.Smith Leslie B.Glickman
Purpose:臨床的には広く使われているにも関わらず、小児の「Supported standing」の効果的処方のエビデンスは欠如している。Methods:ICFのDisabilityとHealthのフレームワークを用いて、我々は特定の検索語を用いて7つのデータベースを調査した。Results:687のうち30の研究が我々の含有条件に当てはまった。エビデンスの強さは良く知られているツールにより評価し、臨床的意思決定、現存する根拠による臨床的推奨および筆者の見解を提供した。Conclusions and recommendations for clinical practice:週5日の立位プログラムは骨密度(60-90min/日)、股関節の安定性(60min/日・両側で30-60°の外転)、股関節・膝関節・足関節のROM(45-60min/日)および痙縮(30-45min/日)に良い影響を及ぼした。
序論および目的
小児は1日に少なくとも2時間は歩いている、あるいは歩けない児は坐位、背臥位および腹臥位で過ごす時間が延長するためしばしば痛みや合併症を経験する。
「Supported standing」は、合併症の軽減および予防、および様々な機能の様相を最も効果的にする努力の中で、50年以上様々なセッティングをして使われてきた。臨床的に広く用いられているにもかかわらず、効果的なプログラムの処方に関するエビデンスは欠如している。
小児および成人の「Supported standing」の文献のシスマティックレビューに中で、有用な根拠は、下肢および脊柱の骨密度;股関節・膝関節・足関節のROM;足の痙縮;膀胱機能に対する有益な効果が中等度の支持が得られていた。立位道具を用いたセラピストおよび個人は「Supported standing」から体重負荷、徐圧、ROMおよび精神的満足についての効果を報告した。循環器および泌尿器機能、筋力および機敏さの効果は見出せなかった。
この論文では、小児の「Supported standing」の特定の臨床的処方推奨について書かれた文献を用いて、我々の初めてのシスマティックレビューを展開する。小児の特定の根拠が欠如していることに関して、筆者は専門家の意見を基本とした他の考察を提供している。このアプローチの趣旨は、「Supported standing」のデザインや手段の最適なエビデンスを臨床家のために提案を提供することである、しかし常にプロフェッショナルな臨床的判断および利用者/介助者ゴール・希望を一貫して提供する。
方法(図1)
年代:1954年1月から2012年8月まで→1954年は成人のみで除外データベース:MEDLINE、CINAHL、GoogleScholar、HighWire Press、PEDro、Cochrane Library databasesおよびAmerican Physical Therapy Association’s Hooked on Evidence
検索ワード「stander」「standing」「standing shell」「tilt table」「standing frame」「whole body vibration(WBV)」と「children」「cerebral palsy」
包含条件その1(1)英語、(2)一般化および同等のレビューをされたジャーナルあるいは公的な会議録、(3)誕生から21歳までで神経筋疾患の有無を問わず、脳性麻痺を含む非定型的発達児。
その2(1)standing frameあるいは似た機器、(2)定量化されたアウトカム
エビデンスレベルはOxford Centre for Evidence-Baced Medicinw(CEBM→テーブル1)と American Academiy of Neurology(AAN→テーブル2)を用いた。
ICF-CYを用いてカテゴライズした。(1)身体機能、(2)身体構造、(3)活動と参加の3分野で組織化および報告する。
結果
身体機能
精神機能(ICFb110-139)→エビデンスレベル4および5(テーブル3)。
エビデンスからの臨床的推奨 1日30分の立位で覚醒と学校での行動に改善。
備考 自己にて推進できる立位装置あるいは立位型の車椅子は仲間との相互作用を促進させる。将来的には医学脳造影法あるいはNIRSを用いて立位による覚醒を計測できれば・・・
循環機能(ICFb410-429)および呼吸機能(ICFb440-449)→エビデンスなし
消化機能(ICFb510-539)→エビデンスレベル4および5(テーブル4)。
エビデンスからの臨床的推奨 逆流の管理に腹臥位が有用かも。硬い素材は避ける。
備考 毎日30-60分の立位で座薬の使用と排便機能にかける時間が減少するかも。
泌尿器(ICFb610-639)→エビデンスなし(報告すらなし)
神経筋骨格および運動関連機能(ICFb710-789)→エビデンス2と5(テーブル5)
ROMの関して高いエビデンスが得られている。
エビデンスからの臨床的推奨 毎日45-60分の立位、60分が最善、股関節・膝関節・足関節のROMが増加した。
備考 許容できる角度から開始し、時間をかけて角度を広げていく。膝サポートやフットプレートも有効(図2)。立位プログラムは9-10ヶ月児から安全に開始できる。特に筋ジストロフィーや脊髄疾患には大腿前面筋の短縮と戦うために股関節0°以上の伸展が必要かもしれない(図3)。膝屈曲拘縮を有す場合図4のような機器も有用。吊るすタイプの立位機器は脊柱や股関節に中等から重度の拘縮あるいは変形があっても対応できる。
筋力機能(ICFb730)→エビデンス3および5(テーブル6)
エビデンスからの臨床的推奨
WBV、側方への揺れおよび振動を伴う立位を10分間、1日2回行うと筋力が増加する。
備考 成人CPではGMFM(領域DおよびE)の改善と等速性筋力が改善した。自己推進の立位機器あるいは立位型車椅子だと上肢および体幹筋力が向上するかもしれない。
筋緊張機能(ICFb735)→エビデンスレベル2(テーブル7)
エビデンスからの臨床的推奨 毎日30-45分の立位で痙縮を現弱させる。
備考 痙縮に対する効果は35分だけ持続する。
身体構造
股関節安定性に関連した骨構造(ICFs75001)→エビデンスレベル2から5(テーブル8)
エビデンスからの臨床的推奨 毎日60分、両側股関節で60°の外転で立位を行うと股関節の生体力学(アライメント)が改善する。
備考 以前に骨折したことがある児には細心の注意を払い、使用する前には禁忌を得ておく。
すべての機器は少なくとも6ヶ月毎に調整する。
皮膚および構造に関連した(ICFb8103-8105)→エビデンスレベル4(テーブル9)
備考 座位-立位機器あるいは立位型車椅子は理想的な装置かもしれない(図5)。常に圧がかかっている部位には皮膚状態の確認が必要。
BMDに関連した骨の身体構造(ICFs7400、75000、75010、75020、76001-76004)→エビデンスレベル2から5(テーブル10)
エビデンスからの臨床的推奨 エビデンスレベルにばらつきが大きい。
備考 60-90分の立位を週5回実施することがBMDに有益な影響を与えるための最小閾値である。学校や施設が変更するときには職員に連絡し継続できるようにしておく。変化がある立位のほうがより効果的。
活動と参加(Mobility d410-489およびMajorLifeAreas d810-859)→エビデンスレベル2から5(テーブル11)
エビデンスからの臨床的推奨 週5回の60分のWBVはCPの機能を改善するかもしれない。
備考 立位とともに玩具やコミュニケーションツール他の学習ツールを用いる。姿勢が起きた中での活動が促進され、仲間と目が合う。自己推進できる立位機器あるいは立位型の車椅子を用いると仲間との活動が促進される。
結語および考察
最も強い根拠を示した文献は立位機器を用いた有益な効果としてBMD、下肢のROM、股関節の生体力学および痙縮を支持した。WBVは将来性のある付加ではあるが、多くの研究は最適なパラメータ(ヘルツ、振幅、振動など)を見て必要とされる。2文献のみ直接アドレスされた。MartinssonとHimelmannは股関節の転位は60-90分/日で有益な効果を示し、30分/日では変化がなかった。Katzらは、BMDは10時間/週で有効な結果を示し、7.5時間/週では効果がなかった。
このレビューで立位機器は医学上有用であることを示したが、更なる調査および討議が必要である。BMDの改善は活動と参加の改善を示さなかった。数人の筆者は低いBMDは痛みの結果となるとしている。そうだとすれば、歩けない児および既に病的骨折を経験した児は再骨折のリスクがより高いため、これが支持された立位が正当化するかもしれない。このエビデンスに基づくレビューの後に質問が残っているにも関わらず、我々は立位機器を24時間姿勢管理および活動プログラムとして使用することは十分な支持が存在すると考えている。セラピスト推奨の24時間姿勢管理プログラムは他動的(パッシブ)な立位要素と自動(アクティブ)的な要素の両面から考えなければならない。
ICF-CYモデルは活動と参加に焦点を当てるよう実践者およびセラピストに勇気づける。我々が身体機能や構造が改善したと見えたとき、個人の環境内で活動と参加も改善していなければならない。GMFCSレベルⅣあるいはⅤの歩けない児が立位機器を用いて、これらの目標を達成するにはすばらしいスタート地点になるでしょう。
小児の「支持された立位」プログラムと要求されているアウトカムとの関連のさらなる調査は必要とされているが、現在のエビデンスは示唆する。
神経筋疾患を伴う小児は物理的にアクティブではないが、週5日の立位で以下に記載する恩恵を受けることができた。(1)BMDの改善、60-90分/日;(2)股関節の生体力学の改善、60分/日両側股関節外転30-60°;(3)ROMの拡大、45-60分/日;(4)痙縮の減弱、30-45分/日。さらなる調査はアウトカムが得られて最小限で最適な処方を定義しなければならない。
今回エビデンスが得られなかった循環器機能、警戒心、排便機能および参加に対する効果にも挑戦は続く。
このレビューの限界は、非常に最小限の小児の処方文献、あらゆる母集団からの潜在的な処方推奨を抽出したため根拠の高いレベルが欠如していること、検索と分類パラメータ、文献の解釈および特定の臨床的推奨/筆者コメントの選択肢で、著者の主観が含まれていることである。これらの制限を考えると、明らかにより多くの研究が、より高いレベルの調査研究から説明がよくされたケースレポートまで、重要なアウトカムを定義し、臨床推論を記述し、そして立つプログラムの効果を決定するために必要である。