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クリニック(施設)以外の移動能力:地域で歩行を行っている脳卒中後遺症者における歩行への環境の影
クリニック(施設)以外の移動能力:
地域で歩行を行っている脳卒中後遺症者における歩行への環境の影響とその測定法
- キンバリー・ドノヴァン(オタゴ大学理学療法研究センター理学療法学部)
- スーザン・E・ロード(オタゴ大学ウェリントン医学・健康科学部医学(リハビリテーション)科)
- ハリーKマクノートン(ウェリントン、ニュージーランド難治疾患研究所)
- マーク・ウェザーオール(ニュージーランド、オタゴ大学ウェリントン医学・健康科学部)
目的:
過去に脳卒中を発症し、現在は地域で在宅生活を送っている被験者の歩行パラメータ(スピード、歩幅とケイデンス)における複雑な地域環境の影響を調査すること、及びクリニック(施設)で一般に使われる評価尺度と比較することである。
デザイン:
異なる環境において、被験者に歩行テストを行った。
設定:
1つのクリニック(施設)と2つの地域環境(郊外の街路とショッピングセンター)。
対象:
30人の慢性期脳卒中患者で、地域に居住し、地域にて歩行を行っている者を対象とした。対象者の10m歩行スピードは20~50m/分の範囲を示し、歩行スピードによって分類を行った。
評価尺度:
ステップ活動モニター(SAM)と走行距離計を用い、6分間歩行テスト(以下6MWT)における歩行スピード、歩幅、ケイデンスを計測した。10m歩行スピード(以下10MTW)は、クリニック(施設)内で測定された。
分析:
異なる環境における歩行テストでの違いを混合線形モデルにより示した。ブランド・オールトマン分析において、6MWTと10MTWによる歩行スピード測定値は一致していた。
結果:
歩行スピードにおいて、統計的に有意で臨床的に意義のある相違が環境の変化によって生じていた。歩行スピードは、ショッピングセンターにおいて最も遅く、街路において最も速かった。この2つの環境での差は、わずか2.1m/分であった(95%信頼区間(以下CI)-3.8~-0.5、P<0.01)。クリニック(施設)における10MTWと街路における6MWTを比較すると、広範囲の一致(-18.5~16.9m/分)を示した。また、街路における6MWTよりクリニック(施設)における6MWT(-5.7~8.9m/分)の方が数値が向上した。
結論:
慢性脳卒中後遺症者において、歩行障害が残存しているにも関わらず、歩行パラメータは、難しい環境下でも著しく悪化しなかった。6MWTは、地域での歩行獲得のための臨床的な測定方法として適している。