文献抄録一覧
Motor strategies in standing up in leukomalacic spastic diplegia
(白質軟化症による痙直型両麻痺の立ち上がりの運動戦略)
Leena D.Mewasingh, Audrey Demil, Florende J.C.Christiaens, et al.
Brain&Development 24 (2002) 291-295
Abstract
CP(SD)の姿勢制御が障害は、全身運動の機構を危険に陥れる。我々は、背臥位からの立ち上がりの分節的運動パターンを、10人の脳室周囲白質軟化症による痙直型両麻痺の児と14人の障害のない児とで、前もって発達調査のための機器として工夫した視覚的解析スケールで研究した。このアプローチは上肢・軸(脊柱)および下肢の特定の動作パターンを評価する。我々は、CPは正常で記述されたしかしながら著しい個人間・個体間の変容が減少した動作パターンを使うことを発見した。事前に記述されていなかった定型的な下肢パターンは4例で観察された。このアプローチは、CPの動作のレパートリーの制限を系統的に特性化でき、それゆえ運動制御のより良い理解に貢献できる。
1.Introduction
CPは、周産期の脳室周囲の白質の低酸素-虚血により下肢優位の錐体路運動障害を起こすが、運動機能は定型ではない。多分節アプローチは、子供の背臥位からの立ち上がりに系統的な動作パターンの描写に推奨されている。これを定量化したのがテーブル1である。今回、この解析方法で描写された健常児の動作パターンがCP(SD)にも使用されるか、および/あるいは他のパターンが共存するかを検証する。
2.Material and methods
対象 CP(SD)10例(女児7例・男児3例)、年齢は5~11歳。6例は28-30週で、2例は31-32週で、残り2例は満期で出生。自立歩行の発現は17-36ヶ月。MRIでは全例PVL、GMFMはレベル1.
コントロール 年齢をマッチさせた健常児14例
動作記録 数秒の休憩を挟み10回連続で、視覚的呈示なく単純な言語指示のみで背臥位から立位。2m離れた位置からビデオ撮影。
データ解析 主調査者および他の独立した観察者が3回ビデオ記録を見る。1回目は上肢、2回目は脊柱、3回目は下肢をクラス分けする。クラス分けできなかったものは詳細に描写する。各児に対する試行回数によるmean segnmental score(MSS)は統計解析に使用された。Wilcoxonテスト(非正規分布)は2つの独立サンプル(動作パターンの多様性とMSSの違い)を適用した。Spearmanの相関係数(ノンパラメトリックな指標)は記録時の年齢とMSS、歩行開始年齢とMSSで使用した。
3.Results
CP4例の定型的な下肢パターンを除いて、Table1の記述は適用された。CPでは全身的に屈曲優位、MSSのSDはCPに比べて健常児でより大きい分散を示す。統計的有意差は上肢および脊柱で得られたが、下肢では得られなかった。
上肢パターン CPでは非対称が顕著‘push reach to bilateral push’パターンで健常児では4歳以降見られず。あるいは‘push and reachの非対称パターン。’
脊柱パターン CPでは70%以上が全身的・部分的非対称パターン。対称的パターンには前後の重心移動が要求される。
下肢パターン CPでは3戦略が使われる:‘half kneel’‘asymmetrical wide-based squat’および記述のないパターン(1肢の内旋に続き、両股関節内転・3関節屈曲)。
MSSと年齢 健常児は年齢と上肢パターン・下肢パターンが相関した。CPでは記録時年齢と上肢パターンが相関した。
4.Discussion
CPの運動パターンは下肢の4例を除き、健常児のパターンと同じである。しかしながら、個人内・個人間の多様性が著明に減少している。
運動活動には無限の方法があるが、健常児であってもパターンは制限されている。
さらにPVLによる痙直型両麻痺では、適応性のある皮質-神経節あるいは皮質-小脳経路を伴う神経回路のself-tuningが障害される→運動コマンドと感覚情報が障害される→運動のレパートリーを制限する。
健常児は年齢とMSSは相関する。しかしCPでは上肢を除き相関しなかった。
この研究の方法は臨床的なスケールとして使用していける。
4.Discussion(全訳)
この研究は、CP(SD)背臥位からの立ち上がりの多くは、一般的な正常で描写された動作パターンを用いることを示した。しかしながら、CP(SD)は年齢をマッチさせた健常児に比べて、明らかに個人内・個人間の多様性が減少していることも示した。付け加えて、以前に描写されていない下肢の動作パターンを10人中4人に観察された。
自発的な動作活動の理論では、神経・筋骨格系に特徴付けられた過剰に自由に与えられた無限の数の方法を成し遂げることができる。しかしながら、実験的な研究では、運動制御は制限された運動パターンの結果となることを示した。これらはむしろ運動戦略として定義されたパターンとして好む。彼らは中枢での制限(神経)が計算した運動プログラミングを反映した。
中枢で制限されているPVLによるCP(SD)は、皮質-神経節および皮質小脳経路を伴う神経回路に適応するself-tuningが遮断されている。結果として、運動命令および感覚情報に関連した能力は障害されている。この過程は、動作レパートリーの制限および運動組織のよりglobalな役割の制限を導き、CP(SD)の感覚運動経験さらに制限させる。今回の我々の運動戦略の研究で使われたCP(SD)の立ち上がりは、年齢をマッチさせた健常児の立ち上がりより制限されていた、この多様性の欠如はまた、健常のよちよち歩きの児の運動戦略とも対照的で、CPの未熟な運動パターンに対して論じる。それよりむしろこの適応能力の提案は、健常児の多様性、競合性および選択とCPの‘fail-safe’の定型的な優位性が基礎となっている。これはさらにCP(SD)の自立歩行年齢とMSSの相関関係の欠如により支持される。
あらゆる年齢のボランティアによる従来の研究では、計測時年齢とMSSは相関関係を示した。我々は健常コントロールで似た結果を得た。CPでは下肢と脊柱でそのような相関は発見できなかった。この提案は、発達シークエンスの代替アレンジは、VanSantらのによる提案と比較する。
立ち上がりの運動活動は姿勢の変化を伴う。平衡の挑戦は重心の中心の再配置の必要性が与えられ、当惑させる。我々は、いくつかの異なる身体の部位の解析で、この姿勢変化の外的組織を研究した。このアプローチは、姿勢コントロールのモジュール組織の理解に貢献した。これは成人ダウン症でも適用され、VanSantらとは異なる動作パターンを示した。記述的および質的側面にも関らず、この単純で視覚的解析システムは高い評者間信頼率を有する。非侵襲的な方法はたやすく簡便なmaterialで最小の費用のみが要求される。信頼性の提供は、経時的な臨床評価研究のためのinstrumentとして使用されるだろう。それゆえ、この研究の進展は、定義されたグループの子供の姿勢および動作の組織化の洞察を得る為の拡大された臨床的スケールとして興味深い。このcontextは、我々の結果は開かれた評価システムの必要性、さまざまな人の特徴付ける代替案の動作パターンの可能性を強調する。